2016年 08月 19日
芥川賞受賞作 村田沙耶香著『コンビニ人間』。これ読みました。
久しぶりに「文藝春秋」を買いました。9月特別です。
芥川賞受賞作品を発表後に直ぐ読むことは今までありませんでした。
第153回 受賞作品、又吉直樹著『火花』も読んでいません。
私は、天邪鬼なので流行りものにはちょっと間を取る癖があるんです。『火花』はブックオフで10冊ほど並んでいましたので、そのうちトライしたいと思っています。
そんな私が何故?
理由はタイトルの『コンビニ人間』にひかれたからです。
タイトルを見て、読んでもいない私の頭の中でストーリ―が勝手に動きだしたのです。
私がこの小説を読む前にできたイメージは、コンビニは人間が生きていくうえでに必要な物資が揃っているようだが、何かがたりない。しかし、コンビニ抜きに生きていけない人間になってしまうことを描いているということでした。
ところが、やはり芥川賞を取るだけあって、作者の構想はもっと複雑で深い展開を用意しています。
コンビニアルバイトの主人公の岡本さん(女性)は、いわゆる普通の人が言う普通の生き方に納得いかないが、その普通の人の社会で生きていくために、無理に普通を装うことにしたのです。しかし、うまく行くはずがなく、コンビニの世界こそが彼女の求める世界であり、彼女を救うことができる世界であることに気が付き、もどろうとするんです。
無駄のない明晰な文章が、虚構の小説の中に生きているコンビニバイト岡本さんの気持ちをリアルに感じさせています。
後半、岡本さんは自ら、白羽さんという男性と強引で不思議な同棲生活をするのですが、この白羽さんが駄目な男性の典型で、そのムチャクチャナ駄目さ加減は男性世界の論理のパロディのように感じます。
読み終わったあとは、ユーモア―SFマンガを読んだような感覚でした。
実力のあるマンガ家に漫画化してほしいな・・・・
映画化しても面白そうです。