2016年 09月 05日
帯広「珈琲園」。こんな喫茶店がありました。珈琲つながり。
何かとしかいえないもの
食卓一期一会 お茶の時間より 長田弘
それは日曜の朝のなかにある。
それは雨の日と月曜日のなかにある。
火曜と水曜と木曜と、そして
金曜の夜と土曜の夜のなかにある。
それは街の人混みの沈黙のなかにある。
悲しみのような疲労のなかにある。
雲と石とのあいだの風景のなかにある。
おおきな木のおおきな影のなかにある。
何かとしかいえないものがある。
黙って、一杯の熱いコーヒーを飲みほすんだ。
それから、コーヒーをもう一杯。
それはきっと二杯めのコーヒーのなかにある。
昔々数十年前、帯広にたくさんの喫茶店があり、私は「珈琲園」の常連でした。西2
条7丁目の路地奥にあり、外観はボロイ感じでした。「ここのコーヒーは帯広で一番美味い」と友人に連れていかれたのが最初です。
アルコールランプよるサイフォン式で、注文ごとにコーヒーを丁寧に入れてくれます。
これを手に入れ、自分でコーヒーを落とすのが夢でした。
でも結局インスタントコーヒーです。
十勝毎日新聞の珈琲園の記事
http://www.tokachi.co.jp/kachi/saten/13.html
ボロイ扉をあけると、珈琲の香りが古い内装に良く合い、落ち着いた大人の雰囲気です。
壁を背に、カウンターに向って一人で座るテーブルが珍しく、本を読みながら1時間ほど過ごすのが楽しみでした。
カウンターの中には蝶ネクタイ・黒いベストの2~3名の男性が働いていました。
お父さんと息子兄弟二人と見破りました。
私が通った頃は、高齢の男性〈お父さん〉がマスターとして、珈琲を入れていました。
カウンターの上部には、きれいなイラスト活字文字の長文の大きな看板がかかっていて、一目で看板屋さんが丁寧に作成したものと分かりました。
マスターのエッセイだったと思います。
先ず、これを読みながらコーヒーを一口飲みます。良い時間です。
「珈琲園」のコーヒーに、長田弘の言う「何かとしかいえないもの」を探していたのかもしれません。
「珈琲園」は改装して「珈琲園バンカム」と名前を変えました。
現在は、西5条北2丁目に移転してお店を続けています。多分あの時のお兄さんが珈琲を入れていると思います。もしかするとその息子さんの代になっているかもしれません。
1972年(昭和47年)の帯広の地図です。
見にくいかもしれませんが、左上の画、「クレジットのデパートのほくそう」の上にあるのが「珈琲園(渥美)」です。
本当に路地中です。
ちなみに左下の画は、現在の藤丸デパートになりました。