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帯広「珈琲園」。こんな喫茶店がありました。珈琲つながり。

何かとしかいえないもの 

 食卓一期一会 お茶の時間より 長田弘


それは日曜の朝のなかにある。

それは雨の日と月曜日のなかにある。

火曜と水曜と木曜と、そして

金曜の夜と土曜の夜のなかにある。


それは街の人混みの沈黙のなかにある。

悲しみのような疲労のなかにある。

雲と石とのあいだの風景のなかにある。

おおきな木のおおきな影のなかにある。


何かとしかいえないものがある。

黙って、一杯の熱いコーヒーを飲みほすんだ。

それから、コーヒーをもう一杯。

それはきっと二杯めのコーヒーのなかにある。


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昔々数十年前、帯広にたくさんの喫茶店があり、私は「珈琲園」の常連でした。西27丁目の路地奥にあり、外観はボロイ感じでした。

「ここのコーヒーは帯広で一番美味い」と友人に連れていかれたのが最初です。

アルコールランプよるサイフォン式で、注文ごとにコーヒーを丁寧に入れてくれます。

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これを手に入れ、自分でコーヒーを落とすのが夢でした。

でも結局インスタントコーヒーです。


十勝毎日新聞の珈琲園の記事

http://www.tokachi.co.jp/kachi/saten/13.html


ボロイ扉をあけると、珈琲の香りが古い内装に良く合い、落ち着いた大人の雰囲気です。

壁を背に、カウンターに向って一人で座るテーブルが珍しく、本を読みながら1時間ほど過ごすのが楽しみでした。

カウンターの中には蝶ネクタイ・黒いベストの2~3名の男性が働いていました。

お父さんと息子兄弟二人と見破りました。

私が通った頃は、高齢の男性〈お父さん〉がマスターとして、珈琲を入れていました。

カウンターの上部には、きれいなイラスト活字文字の長文の大きな看板がかかっていて、一目で看板屋さんが丁寧に作成したものと分かりました。

マスターのエッセイだったと思います。

先ず、これを読みながらコーヒーを一口飲みます。良い時間です。


「珈琲園」のコーヒーに、長田弘の言う「何かとしかいえないもの」を探していたのかもしれません。


「珈琲園」は改装して「珈琲園バンカム」と名前を変えました。


現在は、西5条北2丁目に移転してお店を続けています。多分あの時のお兄さんが珈琲を入れていると思います。もしかするとその息子さんの代になっているかもしれません。

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1972年(昭和47年)の帯広の地図です。

見にくいかもしれませんが、左上の画、「クレジットのデパートのほくそう」の上にあるのが「珈琲園(渥美)」です。

本当に路地中です。

ちなみに左下の画は、現在の藤丸デパートになりました。






by hitoshi-kobayashi | 2016-09-05 08:00 | Comments(0)