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映画の話 「マルクス・エンゲルス」 若さが溢れています。

映画 「マルクス・エンゲルス」

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監督:ラウル・ペック   製作国フランス・ドイツ・ベルギー合作

アウグスト・ディール:カール・マルクス

シュテファン・コナルスケ:フリードリヒ・エンゲルス

ビッキー・クリープス:イェニー



マルクス生誕200年記念映画です。

マルクス(181855 - 1883314日)・エンゲルス(18201128 - 189585日)の二人は、残っている老成哲学者然とした肖像写真と彼らの難解な著書から、近づきがたい印象があります。

この映画のマルクスは26歳、エンゲルスは24歳。青年と言っていい年齢です。

マルクスは貧しい生活に追われながら、天才的な哲学者・理論家として、ストイックに生きます。エンゲルスは工場をいくつも経営する資本家の息子でありながら、マルクスを天才と呼び、オルガナイザーとしての手腕を発揮します。

マルクスの妻イェニーは裕福な家庭に育ちますが、マルクスとの貧しい生活をいとわず彼を支え続けます。マルクスとイェニーは道徳心の高い性格と思えます。

一方、エンゲルスは、奔放な性格でありながら、理想の実現に向かって清濁を飲み込むことのできる懐の深さを感じました。調べてみるとかなりの吝嗇家だったようです。

映画は、神格化された哲学者・革命理論家像を描いてはいません。若い二人の信頼関係が強まる過程と、強い意志を持ちながらも悩める青年として描いています。活き活きとした新たなマルクス・エンゲルスの姿を感じました。

1760年代から1830年代イギリスの産業革命は大きな経済的発展を促したが、一方では資本家と労働者との格差は大きく拡大ました。当時のイギリス労働者の悲惨な状況を丁寧に描いています。監督の視線は労働者に向いています。

ヨーロッパ各地で民衆が変革(革命)を叫び、行動を起こす時代でもあったのです。

そんな時代に、若いマルクスとエンゲルスの二人は出合い、思想は研ぎ澄まされていくのです。


天才マルクスの悪筆は有名です。映画の中でも、マルクスが悪筆のため役所の仕事を得られなかったエピソードが描かれます。資本論はマルクスの死後エンゲルスによって纏められ出版されましたが、マルクスの悪筆解読にエンゲルスは絶望的な苦労をしたと言われています。


私が高校生の頃、ある先生の板書が読めず、「もう少し分かるように書いてください。」と、お願いしたことがあります。

先生は、即座に「達筆に天才無し」と、声大きく断言し、授業を続けました。


by hitoshi-kobayashi | 2018-07-02 08:00 | Comments(0)