本の話 最近読んだ数冊の本

知里幸恵著『アイヌ神謡集』 岩波文庫 1978

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須田茂の『近現代アイヌ文学史論』寿郎社に触発されて読みました。

初めてではないのですが、読んだのがかなり前なので、記憶に残っていません。

左のページにアイヌ語の発音をローマ字で置き換えたものがのっています。右のページはその日本語訳です。

「序」は、美しく明晰な文章でアイヌ民族の悲哀と未来への不安が綴られています。名文だと思います。

19歳で知里幸恵は亡くなりました。もっと書きたかったことがあったはずなのに・・・。


知里 幸恵(ちりゆきえ、1903年(明治36年)68 - 1922年(大正11年)918日)。北海道登別市出身のアイヌ人女性。


バチュラー八重子著『若きウタリに』 岩波現代文庫 2003

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この本も、須田茂の『近現代アイヌ文学史論』寿郎社の触発によるものです。

1931年(昭和6年)に、バチェラー八重子による短歌の歌集『若きウタリに』が出版。「ウタリ」は同族と訳されています。

アイヌ語と日本語は全く違う言語ですから、アイヌ語の言葉を短歌に当てはめることはとても難しいと想像します。勿論、八重子は日本語だけの短歌も詠んでもいます。

八重子の短歌は、「若いウタリ」に向けて、アジテーション(強い呼びかけ)的内容が多いのですが、養父・養母への思慕や英国旅行の印象を詠った作品は、八重子の瑞々しい感性と心象を言葉に置き換えることのできる才能の豊かさを感じさせます。

バチュラー八重子(バチェラーやえこ、1884613 - 1962429日)

アイヌの歌人・キリスト教伝道者。


くらた・ゆかり著『きりのはな』 女人詩社出版 1934年(昭和9年)発行

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詩人・左川ちかが散文でこの詩集を褒めていました。左川ちかの感性に触れてみたく、探しました。

くらたゆかりは、富山県高岡市在住の詩人です。詩集は非売品で入手困難。高岡市図書館にコピーを依頼し、著作権が継続しているため部分的なコピーをいただきました。

作品を一篇、引用します。


ももわれ

林檎のようにはずかしい

けれどうれしいももわれ

きらきら光る街のウインドに

見えかくれする姿よ

歩みながら花櫛のようにうれしい         

綺麗に結った黒髪のあいだから

ありまちの手柄が そっとそっとのぞいている 

大人になりつつある女性の初々しさが表現されています。その他の作品も優しい言葉で綴られています。引用します。

「ほとばしりでる素直さと豊かな感情に輝いてゐるなんと清麗な詩集でございませう。


くらたゆかりの作品は、左川ちかの硬質なシューリアリズム的な作風と全く違います。これらの作品の良さを認める左川ちかの懐の深さに驚きました。


くらた・ゆかり(クラタ ユカリ)

職業・肩書:詩人

出身地:富山県高岡市

生没年 大正2年生(1913)- 平成18年没(2006

本名:長谷川・ゆかり


藤本真理子訳 「イーディズ・シットウェル詩集 惑星の蔓」書肆山田刊 2011

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イーディス シットウェル Edith Sitwell

生没年:188797 – 1964129日没

英国の詩人

左川ちかは、散文『シツトウエルの〈田園喜劇〉について』の中で、シットウェルの肖像画(写真)とその作品に触れています。

読んでみましたが、その難解さにギブアップです。左川ちかの感想に近づくことはできませんでした。
少し冷却期間を置いて再度挑戦します。

ところでシットウェル肖像画は、これだと思います。

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by hitoshi-kobayashi | 2018-08-23 08:00 | Comments(0)