2018年 09月 01日
札幌市芸術の森美術館で『ブリューゲル展』を観ました。
数年前、ブリューゲルの作品『ゴルゴタの丘へ行進』を描く動機と内容を映画した『ブリューゲルの動く絵』を見て、冒頭のシーン―〈16世紀の農村、仲睦まじい若夫婦に襲いかかる理不尽な悲劇〉―に強い印象を覚えました。
Internetで見つけた『ゴルゴタの丘へ行進』(1564年頃)
ある朝突然、領主の兵隊が若夫婦を襲い、夫を連れ出し、殴る・蹴るの後、瀕死の夫を晒しものにし、殺害するのです。おそらく宗教的な異端者狩りかもしれません。
右端にある、車輪を高い棒の先につけた器具は処刑台なのです。
村中に見えるように、簡単に助けることのできないように、瀕死の夫を車輪に括り付け、空中高く棒を立てるのです。映画では妻は棒の下で泣き崩れています。数日後夫は死亡します。今もカラスが夫の死体を突っつくシーンの恐怖と残酷さは覚えています。
今回、残念ながら『ゴルゴタの丘へ行進』を観ることができませんでした。
ブリューゲル家は、ピーター・ブリューゲル1世の後に子供、孫、ひ孫の4世代にわたりたくさんの画家を出した家系です。
ブリューゲル1世の画家としての才能は広く認められていますが、その子孫たちも人並み優れた画力と才能を評価されているようです。
展覧会では珍しく後半の一部の作品が撮影できました。
ピーター・ブリューゲル2世(子供)『野外での婚礼の踊り』(1610年頃)
74.2㎝×94.0㎝の画面に80人以上の男女の農民が細密に描かれています。
鼻が赤いのは酒のせいでしょうか。バグパイプの演奏に合わせて、踊っています。中段の左では、チークダンスですね。酒甕をラッパ飲みしている人がいます。上部中央のテーブルのおさげ髪が花嫁だと解説されています。どう見ても若くないし、楽しそうでない。花婿は行方不明。花嫁の前にお盆があり、貨幣らしきものが集められています。御祝儀かな。
絵の隅々に人間模様と物語がありそうで、とても面白い絵です。
ヤン・ブリューゲル2世(子供)『聴覚の寓意』(1645~1650年頃)
聴覚を寓意するためたくさんの楽器が、画面いっぱいに描かれています。バイオリン、ホルン、リュート、ほとんど現在の形をしています。