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本の話 最近読んだ数冊

高階杞一+松下育夫『共詩 空から帽子が降ってくる』 澪標 2019

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「共詩とは二人で作る詩の意味」で高階の造語。数行書いて松下にメールで送り、松下はそれに続いて数行書いて、高階へメールで返します。これを繰返して一つの詩を完成させます。

相手の次の展開を予測できないので、思わぬ方向に詩が広がる面白さがあるらしい。

9つの詩が編まれているが、シュールなイメージの広がりが楽しい。

そのうちの一つ「風の引き出し」に、身につまされるように気になった一連がありました。引用します。

 (略)

 人を愛するためには

 訓練をする必要があるのだと やっと知ったのです。

 わたしだけが参加するこのなかった

 遠い町での訓練が

 (略) 


マンガ日本の古典21

やまだ紫『御伽草子』 中公文庫 2000

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やまだ紫は、私の大好きなマンガ作家の一人です。書店で本書を発見したときは嬉しくて思わず跳びあがりました。この本には、「一寸法師」「鉢かづき」「長谷雄草子」「ものくさ太郎」「酒呑童子」「猫の草子」の六篇がマンガ化されています。彼女の絵の上手さと、構成力は天才的です。どの作品も、シンプルな線でありながら、登場人物は表情豊かに描かれています。残酷なシーンでも清潔感を感じます。やまだ紫は2009年、60歳で亡くなりました。

中公文庫「マンガ日本の古典」で古典作品をマンガ化しているのは、石ノ森章太郎、花村えい子、長谷川法世、水木しげる、横山光輝・・・・・・と、一時代を築いた作家たちであり、本作品以外もきっと面白いはずです。


『真実の眼――ガランスの夢 村山槐多全作品集』

村松和明(むらまつ・やすはる)著

株式会社求龍堂 2019

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書店で本作品集を見て、思わず購入しました。


村山 槐多(むらやま かいた、1896年〈明治29年〉915 - 1919年〈大正8年〉220日)は、明治・大正時代の日本の洋画家で、詩人、作家でもある。愛知県額田郡岡崎町(現在の岡崎市中核)生まれ、京都市上京区育ち。(ウキペディア)


天才と呼ばれた夭折の画家・村山槐多の絵、詩、小説、戯曲を網羅しています。

作品は図版でしか観ていませんが、観る人を惹きつける独特の力強さを感じます。

「死に急いだ」とも「生き急いだ」とも思える激情の人だったようです。


by hitoshi-kobayashi | 2019-10-05 08:00 | Comments(0)