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本の話 川上澄生著『我が詩篇』龍星閣 昭和31年(1951年)

古本屋巡りは楽しい時間です。

札幌市大通西18丁目の並樹書店は、私の散歩コースの目標の一つです。

この書店の店主は、どうやら川上澄生が好きらしいのです。

川上澄生の本を見つけました。たまらず、購入しました。

川上澄生は高名な版画家ですが、詩をたくさん残しています。

これから、少しずつ紹介したいと思います。


本は紙製の箱に入っています。

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勿論、川上澄生自身の装丁。


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ランプの右の鬚の人物は、川上澄生が師父と呼ぶ「アンリ― ルソー」です。左は、自画像です。


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最初の詩です。


    我は

我はかつて詩人たりしか

ひそやかに今も尚詩人なり思へるなり

詩人は常に文字を以て詩をかかざるべらざるか

我は今詩情を繪畫に託す

あな哀れ 我が詩情は詩とならずして繪畫となるなり



私は、川上澄生の詩や文に、そこはかとないユーモアと哀愁を感じています。

この「我は」は、自分を少しななめから見ていますが、かなり真面目な自己分析です。

川上澄生の本心は、自分の詩情を文字で表現したかったかもしれません。

最後の一行は、自嘲気味に本心を装っていますが、決して本心ではないでしょう。

版画の道に進んだことに後悔をしているとは思えません。

その前に置かれた

「我は今詩情を繪畫に託す」

に、川上澄生の版画への思いがこもっています。


    


by hitoshi-kobayashi | 2020-11-20 08:00 | Comments(0)